麻奈先生のブログ~木下式の子育て論~
by k-onkan
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作者について
木下式音感教育法認定講師
  木下麻奈
     
 木下式の基本は、幼児期に「躾・規律」を教え、高度な音楽基礎教育を施すことです。詳しくは、ホームページをご覧ください。http://www.kinoshita-onkan.com

イラスト:「ケイ&シュート」
 By ケンイチ・シライ
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カテゴリ:しつけ( 264 )

躾の第一歩はイヤ!と泣くときかも

毎週、授業前に踏ん切りがつかずに大泣きする2歳児の女の子がいます。その横でお母さんが心配そうに見守っていらっしゃいます。でも、私は、言葉が達者になった子どもが大泣きをしている時は、ただ優しく見守るのではなく、言葉をかけてなだめたり、あやしたり、諭したり、どうにか、涙を止めて、呼吸を整えられる援助をしてほしいとお話しています。

e0143522_20103551.jpg幼児が感情の波に流されて大泣きをすると、体力も消耗しますし、精神的にもとても疲れるからです。また、泣ききることで過呼吸になることもあるので、「本人が泣きたくて泣いているから」といって、子供はあまり、長く泣かせっぱなしにしていただきたくないのです。

一般にいう「ストレスを解消する涙」は、いい映画を見て感激して涙を流したり、登場人物に共感して涙を流したり、感動して泣いたりという涙です。しかし、子どもが「お稽古前に泣く」のは「苦手なことから逃れたい、でも、逃れられない」というジレンマで泣いているのです。

「泣くと疲れるから、はやく泣き止んで頑張ってきてね」「お稽古が終わったら、一緒にお弁当を食べようね」「帰りはボールプールであそぼうね」「お母さんもずっと、見ているからね」等々、子どもの落ち込んだ気持ちを切り替えたり、意欲を持たせたり、踏ん切りをつけさせる言葉など、お母さんの引き出しには、子どもを励ましたり、諭したりする「たくさんの語彙」を考えておく必要があります。

私が一番、気の毒に感じるのは、どんなに泣いても、何の助け船も出さずに、お子さんと一緒に途方にくれてしまう親御さんや、子どもを置き去りにしてしまう親御さんです。

たとえば、大人の女性が男性の前で、シクシクと感情的に泣いていたら、それは相手に何か訴えたいことがあるときや、慰めの言葉をかけて欲しいとき、ではないでしょうか。もし、一人で泣いてすっきりして、気持ちを新たに頑張るためなら、わざわざ、これ見よがしに誰かの前で泣いたりはしないと私は思うのです。

そして、わざわざ誰かの前で泣いている時に、目の前の相手が見ないふりしたり、無視したり、他のことをし続けて、泣いていることに気付かなかったりしたら、きっと「なんで少しくらい優しい言葉をかけてくれないの?」とか「他人の気持ちが分からない」「本当に気がきかないんだから」と感じるかもしれません。

子ども、特に女の子がお母さんを前に、これ見よがしに泣くのも、少しこれと似ているかもしれません。どうにか、お母さんに励ましてもらったり、慰めてもらったり、気分を変える手助けをしてほしい。だから、お母さんがうんざりするほどの声を出して、泣いているのかもしれません。

親元で大切に育てられた幼児が、王子様やお姫様のように、ふるまうのは当然のことです。それは絶対的に親から愛されているという確信であり、愛着が育っている証でもあります。しかし、そうした土台を育てたら、躾は絶対に必要です。

それは、社会にはどんなに子どもを愛する親であっても肩代わりできない「ルール」があること、どんなに子どもが泣いても、「ダメなことはダメ」なことがあることを教えることです。その最初の一歩が子どもがなんでもかんでも「イヤ」と言った時の親御さんの対応の仕方にあるように思うのです。
by k-onkan | 2017-06-26 23:09 | しつけ | Comments(0)

一生、わが子について謝れますか?

最近、「ごめんね。うちの子が迷惑をかけて」とまわりに謝るのに、子ども本人をきちんと叱れない保護者が増えたように感じます。たぶん、親御さんは「叱っている」と思っているのかもしれませんが、実際は愚痴や小言ばかりで、子どもの目を見て本気で「何がどのようにいけないのか」「それは、いつ、どこでならしていいことなのか」など、きちんと伝えたり、叱ることができていないのかもしれません。

e0143522_1943212.jpg子どものしつけをする上で大切なのは「ママ友選び」かもしれません。特に、子どもが1~3歳のうちは、お母さん自身と子育てやしつけの感覚が似ていると感じるお母さんと、友達になって、子ども同士で遊べると、いい影響があると感じます。反対に、行儀を大切にするお母さんと、行儀はまったく頓着しないお母さんが子どもを遊ばせると、どちらかに違和感が出ることもあるからです。

但し、子どもが幼稚園、小学校に進んだら、価値観の違う人にも出会うのは当然ですし、その中で自分が惑わされないように上手に他人と付き合うことも大事です。担任の先生をはじめ、同級生が気の合う人ばかりではないこともあるでしょう。そして、苦手なタイプを排除するほど、自分の世界は狭まってしいます。

それでも、尚、価値観があった人との関わりが大事なのは、子どもが生きていく上で、自分のタイプや属性を知るためです。そこで、親御さんが「価値観の合う人を選んでつきあう場所」もあれば、幼稚園や小学校で「いろいろなタイプと付き合う場所」の両方が必要なのだと思います。

そして、どちらの環境に身を置いても、わが子に「ダメなことはダメ」と教えるためには、お母さんは、友達の子どもでも、公園などで出合うよその子にもわが子と同じく、注意することが大事です。たとえば、わが子が乱暴をしたら、「ダメ!」というお母さんが、よその子が乱暴したときに「自分の子どもではないから」と見ないふりをしたら、「どうして、ぼくにばかりうるさく言って、よその子はいいの?」とお母さんに対して落胆したり、不満を持つでしょう。

こんな時、価値観が近い親御さんばかりのグループなら、それぞれが「自分の子に注意」をして、それぞれが責任を果たせばいいのですが、いつも価値観が合う人ばかりとは限らないのが大人の世界です。ならば、どんな環境でも、誰にでも「ダメなことはダメ」を徹底して伝えることが大事になります。

私が子どもの頃は、大人はよその子どもも叱ったものでした。当事、子どもで未熟だった私は、失礼にも「うるさい大人だなぁ」と思ったものですが、今思えば、「自分の子どもだけでなく、よその子」についても真面目に考えてくださった時代だったと思うのです。

現代のなるべく「敵を作らない時代」にあると、よその子を注意して、よその親御さんから恨みを買うのは恐ろしいことですが、ここは、「わが子のため」と思って、大人が考え方に信念を持つ必要があるかもしれません。
by k-onkan | 2017-05-22 19:43 | しつけ | Comments(0)

理不尽でもダメなものはダメ!

最近のブログに幼い子のしつけには、「幼児が理解できるように工夫を!」と書きました。しかし、幼児が少しずつ成長して理解力が増したら、子どもが理解、納得できなくても「絶対にNO」があることも知らせる必要を感じます。それは、社会で他人と共存するための「ルール」であり、大人になって社会で同じ行為をしたら、「犯罪」になる可能性があることは、子ども時代に有無を言わせず、「絶対に禁止」と取り締まる強さが大人に求められます。

e0143522_39316.jpg例えば子供が、友達の物を力づくで奪う行為は、どんな理由があっても「ダメ」と注意する必要を感じます。子どもは、一度、許されると、それが習慣になります。習慣になったことを、自分で律して止めるのは難しいことです。大人がしたら「ひったくり」や「盗み」と言われることは、子ども時代に止めさせておきたいと思います。

また、友達や弟妹に手をあげることもどんな理由があっても「絶対にダメ」と禁止しなければと思います。大人が感情的に他人に手をあげたら「傷害」で訴えられることもあるはずです。子供が「ダメ」と言われても手を出す習慣を持ったまま、幼稚園や小学校という集団に入ったら、お母さんが呼び出されてばかりになるでしょう。なるべく、小さいうちに「ダメなものはダメ」を知らせておきたいと感じます。

子どもは「ダメ」と言われると「なんで?」「どうして?」と聞きますが、理由などなく「ダメなものはダメ」も存在するのです。どんな行動にも、子どもなりの「理由」や「原因」はあると思います。それはそれとして、受け止めても、それでも、ダメなことはダメなのです。

たとえば、弟妹にお母さんの愛情を取られてイラついた、とか、具合が悪いママにもっと構って欲しいなど、問題な行動には、身体の底から湧きだす理由はあるでしょう。子どもの様子をよく見ていれば、子どもがなぜ、その行動をするかも、ちゃんと見えてきます。それでも、「やってはいけないこと」があるのです。

三つ子の魂百まで。子供時代の習慣を継続して大人になって社会でペナルティーを受ける話はよくききます。だからこそ、なるべく目立たない小さな癖のうちに直してあげられたら、と個人的には思います。

たとえば、よくある例として、乳幼児期の男児は「女性の身体」によく触ります。言葉が分からない赤ちゃんはともかく、3歳を過ぎたら6歳までの幼児期に「お母さん、お祖母さん、お姉さんなど、家族以外の女性は禁止」にしなければと思います。

これは、よく障害を持つ当事者の問題として対策が求められる課題なのですが、幼児期、児童期に「障害があるから」と大目に見て女性の身体に触れることを赦されてきた男児が、中学、高校と身体が大きくなって補助の女性教諭の身体に触れて問題になる事件は、本当によくあることです。

子育てをされている親御さんは、日々の問題や忙しさに追われ、数か月後、数年後まで気は回らないかもしれません。それでも、今より少し先を見て子育てやしつけをする必要があります。将来、子どもが、自信を持って生きていけるためにも、「今が楽しければ、それ以外はなんでもいい」ではなく、少し大きな子どもを持つママ友を持ち、子どもの目指す姿を目標に子育てができたら、と思うのです。
by k-onkan | 2017-05-20 23:08 | しつけ | Comments(0)

幼くても子供中心は困るかも・・・・・

年若いお母さん方とおつきあいしていると、「しつけができない」「子どもがいうことをきかない」との悩みを多くききます。でも、「しつけ」をするには、子どもに大人の「本気」を見せる必要があり、手軽に簡単にはできないのも「しつけ」なのかもしれません。

e0143522_220836.jpg若いお母さんの中には、「子どもに強制をすること」に抵抗を感じる方も多いようです。しかし、「強制したくないから」といって、すべてを子供任せにしたら、食事時間に「もっと遊ぶと言ったり、「やりたくない」と言うことは何もさせられなくなってしまいます。

たとえば、レッスンが終わって子どもたちは楽しい気持ちになることが多いようです。すると「まだ帰りたくない。もっと本を読む」「もっと遊びたい」と言ったりするものです。お母さんに時間の余裕があればいいのですが、お昼ご飯も食べずに、いつまでもロビーで遊び続けようとしたら、私なら「ダメ]というところです。「今度、お弁当を持ってきて、いっぱい遊ぼう。でも、今日は時間だから帰りましょう」と子どもが、次に希望を持ちつつ、その時は諦められるように、毅然とした態度を示すだろうと思います。

ただし、普段から「やりたい」といえば、「いいよ」というのが当然のお母さん、お父さんであると、子どもは「ごね続ければなんとかなる」と思い、いつまでも「いやだ」「やる」とダダをこねてしまうように感じます。ですが、子供だからという理由で、なんでも「自分中心が当たり前」に育てると後で困るのは「本人」です。子供でいられる時間は限られています。なるべく、体が小さく、親の方が、言葉が達者なうちに、善悪の区別はつけたいものです。

誤解しないでいただきたいことは、「しつけ」は「子どもがしたいこと」を全面的に禁止する、ということではなく、相手が子どもであっても、「帰らなければいけない理由」を説明した上で、「次に機会を作ること」を約束して、気分を変える手伝いをしてあげていただきたいのです。「しつけ」は、大人がなんでも、かんでも、子供をいいなりにするためではなく、「いつはダメなことで、いつならできるのか」、子どもに価値判断をする基準が生まれるように、知らせることではないかと思うのです。

もちろん、いつでも、「大人が工夫して、気分を替えてくれるのが当たり前」にするのではなく、時には、理不尽でも「お母さんがダメ、と言ったら、ダメなのよ!!」と怒鳴られるなどの、理不尽な経験も、稀にであれば、あっていいことかもしれません。いつでも、「子供中心」に気を使われるのが、当たり前だと思わせないためにも、「大人」にも、辛くて苦しい時があることを知らせるチャンスかもしれません。

子どもには、いろいろなタイプがいるので、「静かに言い聞かせて聞く子ども」ばかりではありません。中には、説得されるより「いい加減にしなさい」と本気を見せられないと、心を切り換えられない子どももいるように感じます。どちらにしても、子どもにたいして、本気で誠実に、真剣に向き合わないと、しつけはできないかもしれません。

私が、一番、子供を気の毒に感じるのは、幼い間は、「子どもだから」という理由で比較的、自由に、何の規制も受けていなかったのに、ある日、突然、「もう小学生だから」と、いろいろなことを取り締まられたり、従わせられたりしたら、きっと適応するのが難しく、荒んでしまうだろうと、おいうことです。

できれば、身体が小さいうちに、言い聞かせたり、理由を説明したり、時に、感情を爆発させたりもして、親子で共有する時間から、子供がいろいろなことを理解できるようになっていくと、互いの気持ちを尊重して、互いの扱い方も理解しあう関係になるかもしれません。
by k-onkan | 2017-05-19 23:06 | しつけ | Comments(0)

親しいからこその礼儀がある

1週間前、2歳8ヶ月の孫弟子Sちゃんが「暗い部屋デビュー」を果たしました。この年齢で「暗い部屋」は一般的には少し早いのですが、お母さんが信頼する楽院ゆえに、その子どもは遠慮なく傍若無人な姿を見せやすい傾向を感じます。

e0143522_1723439.jpg子供は自分が「愛されている」「尊重されている」と絶対的に信じられることで、愛着が育つと言われます。しかし、それが過ぎると、大すきなお母さんやお父さん、そして、家族の親しい相手に遠慮のないワガママを出してしまうことがあるのです。

その日は、音感かるたの途中で、「もうイヤだ」が始まり、「何か食べる」と言い出しました。楽院は、レッスンを終わりまで頑張ると「おやつ」が出ますが、途中で、「もうイヤだから、おやつ」と言われて、言いなりになったりはできません。

そこで、お母さんと私、子どもの3人で暗くしたピアノ室に入ってみました。お母さんには、「暗闇で絶対に声を出さないこと」をお願いしてりました。光が閉ざされた中で、誰の声もしないと、急に心配になり「イヤだ、あっちへいく」と言い始めました。「あっちへいく人は、「イヤだ」と言わずに、最後までやってね」。

乳幼児期に、身近な大人に愛されることは、とても大事です。でも、それと同時に、社会で生きる良識を身につけるために、自分を思ってくれる人に、叱られたり、正されたりは、とても大事な経験で、避けて通るべきではないと感じます。

特に、子どもが心から愛するお母さんやお父さんの言葉に素直に耳を傾け、時に、納得がいかずとも、従うべき時もあることを教えるのは、大切なことです。親しき仲にも礼儀あり。親だからといって、なんでも、「子どものいいなり」になるのではなく、将来、親以外の他人からも、愛されるように、幼児期は、躾やマナーに気を付けて育てたいものです。大きくなればなるほど、矯正が難しくなるのですから。
by k-onkan | 2016-12-15 23:19 | しつけ | Comments(0)

子供には理解しやすい注意を!

最近、音感のレッスンを始めた5歳のお子さんは発達障害の傾向を持ち、幼稚園では担当の先生がついてくださっているそうです。担当の先生がいないと、勝手な行動をしてしまうのかもしれません。しかし、楽院のレッスン時間だけは私の指示に従えるようになってきました。ですが、まだ本当の意味で「善悪の区別」や「ルール」はまだ理解できていないように感じます。

e0143522_20514574.jpg楽院は、どんなに音楽能力に長けたお子さんであっても、日常生活や集団の中で、「善悪」や「ルール」を理解して、大人の「指示」が言葉で理解できるようになるまでは、集団のクラスには入れません。他のお子さんに迷惑になるからです。しかし、お母さんは、音感のレッスンに取り組めるようになり、早くお友達と一緒のクラスになることを願っているようです。

私は、「楽院に通い始めて家庭生活が楽になりましたか」と伺ってみました。レッスン時の親子を観察すると、お互いに自分の気持ちを相手に理解させられないまま、ただ、ただ、時間が過ぎているように見えるからです。すると、「まだなっていません」という答えが返ってきたので、「何に一番、困っていますか?」と質問してみました。すると、「何度、注意しても、同じことを言わされること」ということでした。そこで、「具体的にどんなことを注意されているかをと伺うと、食事の最中に突然、立ち歩いたり、食器を叩いたりするということでした。

私はお母さんが、普段、どんな風に子供を注意しているかをお聞きしました。すると、「次にやったら、もう食べさせないよ」という注意でした。残念ながら幼児にとってこの注意は理解できないと思います。まず、お母さんの声に「怒っている」という感情がないため、「自分が悪いことをした」とは感じないのです。また、「次にやったら」の「次」がいつで「何をやったら、いけないのか」も幼児には明確ではないのです。

私なら、食器を叩いた瞬間に、即座に食器もスプーンも取り上げ、「厳しい声で、スプーンで食器を叩くのは、ダメなこと。やってはいけない」ときっぱり言います。子どもは、その厳しさに、びっくりして泣くかもしれませんが、自分が「何か悪いことをした」ということには、気づくはずです。幼児が何かしたら、間を空けずに、その場で注意しなければ、「次」では遅いのです。何度か取り締まっていれば、子供に、「何度も「同じこと」を注意させられる」ことは減っていくはずです。

木下式には、子どもに話しかける際の「語調」があります。高い声、低い声、キビキビとした声、ゆったりおだやかな声など、いろいろな声の感情から、子どもたちに歌わせる声の高さを、知らせて、調子っぱずれを矯正していきます。そして、この語調は、子どもたちの生活の中で、善悪を知らせるためにも、とても役立ちます。

お母さんの中には、「怖い声」や「厳しい声」を出したくない、自分はやさしいお母さんでいたいと願う方もあるかもしれません。ですが、子どもにとって、どんなお母さんであっても、「大好き」なことには変わりはありません。そして、大好きなお母さんだからこそ、子どもが社会で「迷惑な子扱い」されないように、家庭の中で、行儀や躾を行い、外の社会に送り出してあげて欲しいのです。
by k-onkan | 2016-11-25 20:51 | しつけ | Comments(0)

労力を払って報酬を得ること

1960年代の研究で「動物は食事を労せず得るよりも、なんらかの対価を払って得ることを好む」ということが明らかになったという記事を見かけました。これは、「コントラフリーローディング効果」といって、日本語では「逆たかり行動」と呼ばれたりするそうです。

e0143522_2044448.jpgこの実験は、レバーを押すと食事がでてくる仕組みを学習させたネズミに「自由に食事が取れるボウル」と、「レバーを押すと食事が出てくる装置」の二つの選択肢を与えるといいます。すると、多くのネズミはわざわざレバーを押して食事を獲得したそうです。つまり、本能的に動物は苦労や努力などの対価を払って報酬を得ることを好むことをこの研究は示しているのです。そして、これは、ネズミだけでなく、犬やトリ、チンパンジーなどの動物でも同様の結果が得られているのだそうです。

この記事を読んで、子どもたちを連れてよく出かける「ぞうの国」の象たちも、調教師との信頼関係の中で、対価を払って報酬を得ているのだろ感じました。

よく芸をする動物に対して「やりたくないことをやらせている。動物虐待だ」という人もいいます。ですが、自然の中で、自力で苦労して獲物を取る必要がない飼育された動物には、適度な困難に挑戦するのは、大事な遊びなのかもしれないと思ったりもするのです。

そして、それは、人間の子どもも同じかもしれません。ただ、「子どもが大切だから」と危ない物、汚い物、全てを過剰に取り除き、欲しいものだけ与え続けると、自分の労力を使って、対価を得ることができなくなってしまいます。未来を担う大事な子どもだからこそ、長い将来を見据えて、「どういう子に育てたいか」を考えるときかもしれません。
by k-onkan | 2016-11-20 23:41 | しつけ | Comments(0)

大人になっても治らない

2~3歳の子どもを育てるお母さんから「躾は、何を注意すればいいか、わからない」という言葉を聞きました。そして、「食卓で、食べものをなぶって遊ぶこと」も、「食事中に席を立って歩くこと」も大人になってしている人はいない。今から目くじらを立てなくても、大人になれば自然になおるだろう」と思ったそうです。

e0143522_12462894.jpg私の友人で、建設現場で仮設工事をする会社の社長をしている人がいます。彼は「子どもの頃に、ちゃんと、親に教育されずに大人になった60代~70代の人の幼稚園の先生のように、日々、頭を下げて回っている」といいます。話をきくと、幼児期、子供時代に改善されなかったさまざまな行動は、大人になると、非常識な行為として継続されるようです。その話をきくと、「大人になったら自然に治る」という考えは改めた方がよさそうです。

個人的に思うのですが、大人になって常識的な行動ができる人は、大人になるまでに、家族か、親戚か、学校が、職場か、どこかで「その行いは、おかしい」と教えてくれた人がいたり、自分から学ぶ機会があった人なのだろうと思います。

反して、大人になるまで、誰からも何も言われる機会がなければ、何歳になっても、食事のマナーが悪かったり、非常識なことをしたり、無責任なことをすることは、多いにあり得るのだと思います。そういう時に、世間は、「親の顔が見たい」とか、「育ち方が好ましくない」と評価するのかもしれません。

昔の親は、「子どもがよその人から批判されるのは、親にとっても恥ずかしいことであり、教えていない親の責任」という考えを持っていました。よその人から、注意を受けないために、子どもをしつけたともいえそうです。今の時代は、子育ての仕方が分からないし、どうやって躾をしたらよいからわからないから、できれば、専門家に教えて欲しいとの考えが主流のようです。

もちろん、私も子どもと関わる仕事をしているため、子どもに教えることは、構わないと思っています。むしろ、積極的に躾をする教室です。それでも、私たちだけで、躾をしてはいけないと思う理由があります。それは、私と子供たちの関係は「先生と生徒」という経済的なものの上に成り立っているためです。楽院を続けられなくなった時には、
縁が切れてしまうことがあります。躾の係がある日、突然、存在しなくなったら、子どもは根なし草のようになってしまいます。

ですから、子どもの躾は、縁が切れない親や祖父母、親戚、という間柄の人を中心に行い、外部の側面支援は、あくまで、お手伝いのように思うのです。
by k-onkan | 2016-10-21 19:37 | しつけ | Comments(0)

反省部屋は、最後の手段!

低年齢のお子さんを教えていると、時々、「反省部屋」が登場します。楽院なら、わがままな気持ちが切り替えられない時、故意でなくても友達に危害を加えてしまった時、お母さんに悪い態度をした時、等々、です。反省部屋といっても、1~3歳児は暗い部屋に一緒にいくだけですが、十分に怖いようで、すぐに反省してくれます。その後は、「暗いところにいきたいの?」というと、「いきたくない。やる」とすぐに気分を変えられるのです。

e0143522_1163639.jpgただし、この反省部屋の効果は多用すると薄れてしまいます。子どもも反省部屋に慣れて、どんどん打たれ強くなり、中に入って反省するより、恨みの気持ちが生まれます。すると、大人は「いうことをきかないから」ともっと厳しいペナルティーを考えてしまいます。これでは、大人が子どもに伝えたい大切なことは、伝えられません。

効果があるものは、諸刃の刃です。反省部屋も効果はありますが、その弊害も理解して用いなければなりません。楽院でも「暗い部屋」には、同じ子を何度も連れていくことはほとんどありません。中には、先生とのやりとりで絆を育むタイプのお子さんが稀にいて、毎週、反省部屋に行っては戻ってくることもありますが、それは、例外です。

反省部屋に連れて行く時は、大人も、真剣勝負です。絶対に子どもが「心を改めた」と感じるまで、途中で情け心を出したり、子どもの抵抗に負けたり、嫌われることを恐れたりはしてはいけないのです。なぜなら、一度でも、大人が負けたら、子供との関係が逆転すると感じるからです。

最近、楽院の「反省部屋」を真似て、おうちでも「おしおき部屋」を作った3歳の男の子の家庭がありました。最初にお母さんから、「入れれば、いうことをきく」と聞いた時に、私は少し「まずいな」と感じていました。お母さんに従わせるために、反省部屋を用いているように感じたからかもしれません。

けれど、最初はいうことをきいた子どもも、段々、強くなり、暗闇でも抵抗を示すようになったのだろうと思います。すると、お母さんのいいなりにはならなくなってきました。激しく泣いたり、怒ったりするようになったのでしょう。すると、お母さんは、急に申し訳なくなって、優しい声で折れるのです。これでは、最終的には子どもの言いなりです。大人の信念が途中で簡単に変わるくらいなら、最初から、「反省部屋」を使わない方がよかったと、私には思えます。

私たちが生徒を暗い部屋に連れていく時は、「このままでは絶対にいけない」という時であり、「子どもに嫌われること」は覚悟の上です。そのため、一度でも、私に叱られたことがある子は、大人になっても「麻奈先生は、怖いよ」と恨み言をいいますし、小さい子なら、絶対に私にはだっこを求めてきません。それも覚悟の上です。

反省部屋に連れていかれる子どもも大変ですが、それに付き合う大人にもかなりのパワーが求められます。私たちも連れていかなくてよいなら、連れていきたくはないのです。だからこそ、大きな間違いをする前に、先導によって「友達を叩いちゃ、ダメ」「それは危ないから、勝手に障ってはダメ」と幼い頃に、きっぱりと教えているのです。けれど、それも、将来、子どもが大きくなったら、「自分で危ないものや友達と、正しく関われるようにすること」が目的であり、未来永劫、いろいろなことを禁止して支配したいから、事前に教えているわけではないのです。
by k-onkan | 2016-10-07 23:04 | しつけ | Comments(0)

子どもの奴隷になっていませんか?

赤ちゃんは、生まれてから約2年間、お母さんとの絶対的信頼と愛着関係を築いたら、次の課題は「しつけ」にあると感じます。0-1歳のころは、一人では何もできずに、常にお母さんの助けを必要としていましたが、2歳になったら、子供には、できることが増えているはずです。それなのに、いつまでも、「やって、やって」という子どもの言葉を受け入れていると、いつしか、お母さんは、わが子の奴隷のように「面倒なことをやってくれる人」「自分の都合のいい生活を与えてくれるのが当たり前な人」に位置づけられてしまいます。

e0143522_201637100.jpg「もう赤ちゃんじゃない」ということを、まずお母さんが認識して、「本当に助けが必要なこと」「甘えて、手助けを求めていること」「できるのに、やらないこと」などを見極めて、「自分でやってごらん」と、促すことも大事です。その際、「自分でできるから」と放置するのではなく、「もうお母さんが、手伝わなくてもできるなんて、お姉さんになったのねぇ」と感心したり、褒めたりしながら、お母さん自身が、手を出しすぎないように注意する必要があります。

また、「もう2歳なんだから、自分でやって当たり前」と突き放すと、寂しくなって、できることもしなくなり、後退することもあります。一緒にいる大人は、子供の心の機微を観察しつつ、子どもが、自分から挑戦したくなるような言葉で導き、できたら、褒める。少し難しいことには、手を貸す、一人でできるようにする、この繰り返しが、2歳を過ぎたら大事になります。

また、近い将来、幼稚園や保育園などで集団生活をすることも考慮して、何でもかんでも、「子ども中心」ではなく、「お母さんにも感情があること」を知らせ、「いつでも、いいなりにはなれないこと」を伝えることも大事な教育かもしれません。

幼児期に刺激を与えることによって、幼児は、どんどん賢くなります。賢くなることは素晴らしいことですが、大人には注意が必要です。なぜなら、子どもはどんなに幼くても、「誰が自分のいいなりになる相手か」「誰が気を付けて付き合う相手か」をきちんと見極め、上手に大人と付き合う知恵もついてきます。この時、「小さいから」とご機嫌取りばかりしていると、あっという間に、子供の知恵に大人が負けてしまうかもしれません。幼児期に子どもに教育を与える責任は、親が常に子供より賢くいる努力をすること、そして、決して子どもに侮られることなく社会に出るための「しつけ」をすることだと、私たちは強く感じています。
by k-onkan | 2016-09-07 23:15 | しつけ | Comments(0)