麻奈先生のブログ~木下式の子育て論~
by k-onkan
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作者について
木下式音感教育法認定講師
  木下麻奈
     
 木下式の基本は、幼児期に「躾・規律」を教え、高度な音楽基礎教育を施すことです。詳しくは、ホームページをご覧ください。http://www.kinoshita-onkan.com

イラスト:「ケイ&シュート」
 By ケンイチ・シライ
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1歳から始めるメリットは?

最近、1歳のお子さんとお母さんが体験授業を希望される方が多くなっています。今日も2名の親子が既存の望クラスに参加されました。その際、「1歳という時期から音感教育を開始するメリットは?」という質問をいただきました。

e0143522_19125010.jpg早期に開始するメリットはいくつかありますが、一番の理由は子供が「好き嫌い」を判断する3~4歳より前に、自然に音楽を楽しむ気持ちを育て、声を出すことに抵抗を示さないように育ってほしいからです。これは、以前、楽院を見学された東北大学加齢医学研究所の瀧靖之先生に教えていただいたことですが、親が子供に好きになってほしいことがあるなら、早いうちに親が楽しんでいる姿を見せることが大事、だそうです。

思えば、子供は親のいう通りにしなくても、親がすることは呼吸をするように自然に吸収していくと感じます。たとえば、音楽家の家庭の子供が音楽家になりやすいのは生まれてすぐから、音楽があるのが当然の環境に育つから、といえそうです。また、本が好きな親御さんの子どもは当然のように本を読みますし、論理的に話す家庭のお子さんは、幼児であっても順序を追って説明するのが上手なものです。そう考えると、自分ができることは、早期に子どもに見せておくことは大事だと思います。まして、「自分が苦手なこと」をわが子にできるようになってほしいなら、「適した時期」に「好ましい方法」で訓練を始めるのが、好ましいと感じます。

音楽教育の中でも、特に「音感教育」は聴覚の発達に関連があるため、遅くとも4歳半には訓練を開始して、7歳までには能力の定着を図りたいと感じます。最近の脳医学では音感がつく臨界期は7歳より、もう少し後までと言われるようになってきましたが、木下式で発声を通して音感能力を付けるのであれば、4歳半がギリギリのタイムリミットです。聴覚の良し悪しは、それぞれ個人差があるものですが、それでも、早期に意識して耳を使い始めたお子さんの方が、鋭敏な聴感覚を持つと感じるからです。

私たちが生後数か月からベビークラスを開講したのは、早期に先どり教育をして幼稚園受験に役立てたり、よその生徒を出し抜きたいから、などの理由ではありません。3歳に木下式を開始して最大限に効果を出すためには、2歳のうちに家庭でやっておいていただきたいことがあったことから、2歳の望クラスを開講しました。

2歳の子どもに負担なく、望クラスの授業を行うためには、1歳の間に絵本を読んだり、身体を使ったりすることが、大事になりました。1歳で言葉を吸収したり、お母さんの言葉が理解できるようにするためには、0歳の頃の身体の動かし方やスキンシップが大事になります。それぞれの時期に、家庭で親御さんにしておいていただきたいことがされていないと、どんなに木下式が素晴らしく効果的な音感教育でも、どんなに楽院が手をかけて教えても、昔と同じ成果をあげることはできない、これが0歳からクラスを開設した理由です。

0歳からお稽古ごとを始めたからといって、後で楽をしたり、手抜きができるようになるわけではありません。けれど、親御さんに時間的余裕があるうちに、親子一緒に、日々、少しずつ、当たり前の努力をする習慣を持つための最初の「教育やしつけの第一歩」が1歳から始めるお稽古なのかもしれません。
# by k-onkan | 2017-04-20 19:12 | 乳児 | Comments(0)

親でなくていいと言っても・・・・・

数日前、「経済的な理由で育てられない子」を里子として引き取って暮らすある家族の話がテレビで放映されました。里親のもとで愛情をかけられ、なおかつ、生みの親のことも小さな頃から真実を伝えられ、里子という事実を受け入れながら生活する姿を見ると、血のつながりがなくても愛情で結びつけられた家族が、これからは増えていくと感じます。

e0143522_20391323.jpgそんな中、ツイッターで「幼児にとって愛着を形成することは重要だが、愛着は親でなくとも問題はない」という考えを知りました。前述のテレビのように生みの親でなくても、それ以上に子どもを愛して守り、一緒に過ごしてくれる人であれば、他人の里親でも愛着は形成できると思うのです。けれど、「親でなくても問題はない」といっても1日に何回も交替する保育士さんや、月3回の音感のレッスン時しか会わない私とでは、愛着の形成はできないと感じます。

保育園に教えにいくと、帰り際、必ず、子供たちが「あ、麻奈先生だ」と言って、手に触れたり、抱きついたりしようとします。三年前にはじめて保育園に教えに行った頃は、たまらなく抵抗がありました。なぜなら、子供たちが本当に求めているのは、月に数回しか会わない私の抱擁ではなく、親御さんとのスキンシップであると痛感していたからです。

保育園指導も3年になると、「とりあえず、誰でもいいから甘えさせてほしいのだろう」と感じるので、来れば受け入れるようにはしています。但し、保育園で一人に触れることを許したら全員が触れたがるのも、覚悟の上です。中には、胸に顔を押し当ててくるほど、寂しがりやの男の子もいて、不憫になります。個人的な経験ですが、親御さんから家庭で十分にスキンシップを受けて満足している子どもは、そこまで他人の私に遠慮なく抱きついてきたりはしないものだからです。

愛着の問題を言われると、「親ばかりに責任を押し付けられても」と逃げだしたくなる気持ちになるかもしれません。それでも、やはり縁あって親子として一緒に暮らせているなら、わが子を受け入れてほしいと願うばかりです。先のテレビ番組の中では、里子に出た男の子も、生んだお母さんも、分かれる時は、とても切なそうでした。どんなに里親家族に愛されていても、自分の親と離ればなれになることは、子供にとってやるせないものでしょう。そして、それが、一日にたった8時間~11時間でも、母を求める時に手に入らない距離にいるのは切ないものなのではないでしょうか。
# by k-onkan | 2017-04-19 20:39 | 親業 | Comments(0)

目を見て、話を聞いて!

「音感の先生は、台風や雨とやってくる」といわれるくらい、なぜか、火曜日は悪天候なことが多いようです。今日も「春の嵐が吹く」という気象庁のニュースで、いつもより早めに家を出たのですが、到着したらいつもと同時刻で、その頃にはすっかりいい天気になっていました。

e0143522_19505663.jpg3歳児にとっては2回目の音感のお稽古です。第一回目のお稽古では「名前を呼ばれたら、返事をすること」「物には名前があること」「色にも名前があること」を教えて、「音感教育」を行う準備を整えました。最初のレッスンから1週間、担任の先生にも名前を呼んだら目を見て返事をすること、クレヨンの箱から指示されたクレヨンを取り出して色を塗るなどの練習もしておいていただきました。

「おはようございます」と部屋に入ると、子供たちからも嬉しそうな挨拶の言葉が返ってきました。「すごい風だったわね~」というと「飛ばされそうになっちゃった」とか「雨はもう降っていなかったよ」など、月齢が大きく口が達者な三歳児が一斉に話しはじめました。

保育園に通うお子さんたちは、誰もが「自分の話を聞いてほしい」と思っているのか、我先に話しはじめると、他人が聞いていなくてもお構いなしで話し続けるように、私には見えます。自分のいいたいことを言えば、「誰かに聞いてもらったような気」になるのかもしれませんが、実際は一方通行です。自分の話をきちんと聞いてもらえないのに、相手の話に耳を傾けられるようにならないでしょう。

そこで、音感のレッスンを始める前に、一人づつ、話していい時間を作ってみました。「すごい嵐だったね。風は大丈夫だった?」「朝、雨は降っていたの?」「保育園には誰ときたの?」「自転車できたの?」「車は何色なの?」「誰が運転したの?」など、答えやすい質問を全員にしてみました。無口な子でも「誰と来たの?」と聞かれたら、「パパ」「ママ」と言葉が返ってきます。そして、まわりの子にも、「○ちゃんは誰と来たって?」「△ちゃんの家の車は、何色だって?」と質問をしてみるのです。すると、関係ない子も興味を持って話を聞くようになります。

全員にたった一言二言、話をさせるだけでも、結構、長い時間が必要です。しかし、子供たちに「目を見て自分の話を聞いてくれたから、次は麻奈先生の話も聞いてみよう」と思わせるためには、大切な時間です。実際に話を聞いた後では、前回以上に「音感かるたの説明」に目を輝かせてくれました。

しかし、可能であれば「音感の時間」に一人ずつ発言する時間を持つのではなく、毎日の家庭生活や保育園で親御さんや担任の先生方に、目を見て話を聞いてもらえていると、子供は満足して、「音感の時間」は心置きなく、音感に取り組めるにようになるはずです。

3歳児に質問をするときに、私が気を付けているのは、決して「どうだった?」などの曖昧な聞き方をしないことです。低年齢の幼児にはなるべく具体的で答えやすい質問を心掛けましょう。但し、幼稚園や保育園の先生は、「全員平等に話す機会を与える」と言われると、「同じ質問」を全員に平等にしがちなので、気を付けてください。

子供たちは同学年でもそれぞれ言語力や観察力、理解力に差があります。「すごい天気だったね」と言って「飛ばされそうなほど、風が強かった」という子もいれば、天気の良し悪しに気付かない幼い子もいるでしょう。大事なのは子供が答えたくなるような質問をすることであり、決して、先生が「答えてほしいこと」を言わせる質問であってはなりません。

保育園で音感を教えるようになって今年で3年。「音感教育」を行う上で、子供たちに身についていない能力をプラスするために世間話をしたり、いろいろな体操をさせたり、さまざまな工夫しながら気づいたことがあります。それは、保育園の先生も親御さんも、仕事で忙しいこととは思いますが、それでも「もっと目を見て、一人ひとりの話をよく聞いてあげてほしい!」ということです。子供たちはまわりの大人との会話や関わり方によって発達が促されます。どうか、子供が静かにしているから安心と放っておかないでいただきたいのです。

その昔、保育園より幼稚園の子どもが比較的、大人の話を聞けたのは、家庭で自分の話を聞いてもらうチャンスが、保育園に預けられる働くお母さんの子どもよりは多かったからだと感じます。でも、今は幼稚園でも前後にお預かり時間を付けると、保育園並みの長さで、預かっていただける幼稚園もあり、「幼稚園だから安心」「保育園だから心配」ということはありません。それぞれの家庭で、わが子の話に耳を傾けたり、子供の話を興味を持って聞かないと、小学校に入っても、集団の中で、先生の話に耳を傾けられない子どもが育っていくかもしれません。
# by k-onkan | 2017-04-18 19:49 | 保育園 | Comments(0)

幸せな誕生日を迎えて

2歳から教えた卒業生のAちゃんが「私の誕生日を祝ってくれる」ということで親しい知人や妹一家が我が家に集まりました。10年前、高校二年生の時に、我が家で一か月ともに生活したこの子こそ、私が拙著「折れない子どもを育てる」を書くきっかけを与えてくれた生徒です。

e0143522_18502245.jpg10年経って社会人になった今でも、「これくらいでは恩返しにならない」と、毎年3月になると私の誕生日を祝い続けてくれています。今年は、私の仕事の都合で、きっかり1ヶ月遅れの誕生日会となりましたが、思えば10年前、節目の誕生日も同じメンバーでお祝いをしてくれました。

当事、3歳だった兄甥Yが13歳となり、姿形もなかった弟甥Kは7歳です。17歳だったAが27歳と、10年の歳月は子供たちを大人に、私たちをかなり疲れさせたと思いますが、大きくなった甥たちやAが我が家でピアノを弾いたり、遠慮なく私に甘える姿に、誰よりも、私が幸せな気持ちになりました。

子供の頃は、何事にも全力投球して、いろいろな才能を見せていたAが思春期のふとしたきっかけで、親御さんとの関係がすれ違い、自分を信じられなくなり、何を目的に頑張ったらいいのか、分からないと長く迷う時期がありました。その間、Aがどんなに「目をそむけたくなること」をして大人を困らせても、絶対に途中で見捨てることだけはしないと心に誓って関わってきたのです。

子どもの頃、あれほど無邪気に頑張った子が、こんなことに悩み、困難に遭遇する様子を目の当たりにしながら、「何かができるから」とか「成績がいいから」だけではなく、人間として、バランスよく育てることの大切さを教えられました。

10年経った今、社会人として働きながら、再び、心底、打ちこめることを見つけ、一生懸命、努力する姿を見ると、「やはり、この道を選ぶなら、なぜ、もっと早く気が付かなかったのか……」と遠回りをした切なさを私たち大人は感じます。しかし、それでも自分が迷い苦労して選んだ道であることが何より、大事なのだと思います。願わくば、10年後の私の誕生日には、この子の夢がかなって新たな道を歩んでいること祈るばかりです。
# by k-onkan | 2017-04-17 23:47 | 名誉団員・卒業生 | Comments(0)

途中で見捨てないで・・・・・

たとえば、男女が痴話喧嘩をした時に、女性が「放っておいて」と言ったからといって言葉通りに放って帰ったら、「女心がわからない、優しさがない」と男性は女性から責められる可能性は高いように思います。もちろん、女性の中には「放っておいて」は「本当に構わないで」とストレートな意味の男気にあふれた人もいるでしょう。しかし、そういう人は、子供時代から自分の願いを素直に口にして受け入れられた人なのだろうと、想像します。

e0143522_20231052.jpg本当は「放っておいてほしくない」のに「放っておいて」というのは、子供時代に親が忙しかったり、自分から「いい子でいなければ」とわがままを言わなかった人かもしれません。本当は「構ってほしい」のに素直に言えない代わりに病気になったり、わざと問題を起こす「面倒なタイプ」の話です。

私自身に、まさしくそんなところがあり、大学生になってアメリカで一人暮らしをしていた頃には、ずいぶん周りの友人に迷惑をかけたものでした。ストレートな表現が多いアメリカで、ストレートな表現をすることで、ずいぶん、素直に自分の気持ちを言えるようになったと思いますが、それまでの道のりは長かったと感じます。

よく「子どもの頃、いい子だった子が危ない」と言われるのは、自分の気持ちを素直に出せないまま、思春期に突入して、その感情をコントロールできなくなるからだろうと思います。10代で面倒なぐれ方をする子どもは、必ず、「大人なんて」とか「こっちに来るな」と乱暴な拒絶の言葉を発します。でも、そこには、「自分に愛情がないなら」とか、「途中で見捨てるつもりなら」構わないでほしいと聞こえます。私が思春期の子の面倒に関わったら、最後まで絶対に見放してはいけない、と感じるのは、そんな理由からなのです。

10代の子どもや、成人した大人になっても、そんな表現をする人がいるのですから、幼児が「ママ、嫌い、あっちへ行って」と走って逃げたり、部屋に閉じこもったときでも、「本人が望んだことだから」と放っておかないであげてほしいのです。きちんと子供を抱きしめて、「どうしたの? 何がいやだったの? ちゃんとママに話して」と話を聞いてあげてほしいと思います。そして、お母さんの側の話もきちんと伝えてほしいのです。

大人に余裕がないと、親御さんが「だったら、もう勝手にしなさい」と怒ってしまうこともあるでしょう。すると、子供は自分の「負の感情が誰にも受け入れられない」と思い、益々、素直な表現が苦手になると感じます。

はじめての子育てで、お母さんも、お父さんも余裕がないのかもしれません。でも、子供はそれ以上に、もっと心配ごとが多いものなのです。どうか、子供の気持ちは途中で見捨てずに、最後まで付き合ってください。その過程で、「ダメなことはダメ」と言っていいのです。また、親御さんばかりが我慢したり、自己犠牲を払う必要はありません。ただ、「人間」と「人間」として、「していいこと、悪いこと」を伝えたり、「受け止められること、受け止められないこと」をきちんと伝え、親としてわが子を愛しているを示してほしいのです。それが、将来、子供が幸せに生きていくために、絶対に必要なことだと思うから――。
# by k-onkan | 2017-04-16 22:21 | 子育て | Comments(0)